
こんにちは、具です。
私たちは付き合って20年、同棲して15年以上の同性カップル(ふうふ)ですが、法的には結婚が認められていません。つまり、制度上は「他人あつかい」になります。
こうした不平等性を解消するために、現在、日本全国で婚姻の平等に関する訴訟(同性婚訴訟)が行われています。
同性カップルが法的に他人である以上、将来に向けた備えを自分たちでしなければなりません。同性カップルが法的保障に近づくための手段としては、主に「養子縁組」や「公正証書」という方法があります。そんな中で、私たちが選んだのが公正証書の作成でした。
今回は、実際に私たちが作った公正証書のうち、「パートナーシップ合意契約書」と「任意後見契約書」について、作成の流れや実際の費用、そこで感じたことをまとめてみたいと思います。
- 📑 そもそも「公正証書」とは?
- 📝「必要だけど動けない」思い込みの壁
- 🌱 きっかけは、友だちのひとこと
- 🌟 1回目の訪問:公証人と面談
- 🧾 準備した書類(参考)
- 💼 2回目の訪問:押印と完成
- 💰 実際にかかった費用
- 🌸 おわりに:やってよかった。けど……
📑 そもそも「公正証書」とは?
公正証書とは、公証人が法律に基づいて作成する、法的効力の高い文書です。
私文書にはない「証明力」や「執行力」があり、トラブルの防止や権利保護につながります。
私たちが今回作成したのは、この2種類。
- パートナーシップ合意契約公正証書:同性カップルなどが、互いを人生のパートナーと認め、生活や財産、介護などに関する合意を明文化した契約書です。婚姻とは異なりますが、関係を「見える化」し、証明する手段となります。
- 任意後見契約公正証書:将来、判断力が衰えたときに備えて、信頼できる相手に財産管理や生活支援をお願いする契約書。本人の判断力がしっかりしているうちに結ぶ必要があります。
本当は「遺言公正証書」まで作れれば理想ですが、それは今後の課題として、まずはこの2つに取り組むことにしました。
📝「必要だけど動けない」思い込みの壁
公正証書のことは、ずっと「そのうち必要だよね」と思っていました。
でも、なかなか行動には移せずにいました。というのも、こんなふうに思い込んでいたからです。
ーー公正証書って、行政書士に頼まないと作れないよね?
ーーお金も時間もかかるし、まだ早いかも…
ーー契約文書なんて、自分たちで書けるわけがない
実際、2018年にNHK『ハートネットTV』の取材を受けたとき、知り合いの紹介で行政書士さんと話す機会がありました。そのときも、丁寧に必要書類や費用の目安などを教えてもらったのですが…
へえ、公正証書って、1人1通ずつ作るんだね
費用も2通分必要になるのか……
ぜんぶ合わせると、何十万円とかになるって言ってたね
さすがに今は難しいなあ
いつになったら作れるようになるかなぁ
しかも、公正証書には形式やルールがあることから、「法律っぽく文章を作らなきゃいけないんでしょ? 素人には無理だよね」と、どんどんハードルを上げてしまっていました。そうして、「必要だとは思う。でも動けない」状態が何年も続いていたのです。
🌱 きっかけは、友だちのひとこと
そんなある日、仲のいい同性カップルの友だちが我が家に遊びに来て、こんな話をしてくれました。
ねえ、私たちさ、公正証書作ってきたんだよ
えっ!?もう!? どうやって?
公証役場に直接行ったの。テンプレートがあって、それを使えば大丈夫だったよ
行政書士さんとか通してないの?
うん。メールで予約して、必要な内容を伝えたらひな形を作ってくれたの。費用も10万円かからなかったよ
そんなもん…?意外と現実的!
これまで「専門家に頼まなきゃ無理」と思い込んでいた私たちにとって、まさに目からウロコでした。ようやく、自分たちでも「できるかも」と思えるきっかけになったのです。
✉️ 実際に公証役場に行ってみた
そうして年末が近づいた2023年12月。ようやく行動開始です。
私たちは住んでいる町の公証役場に、メールで予約を取りました。(※予約方法は役場によって異なるので要確認です。また、作成を依頼する公証役場は、自分たちの住む住所地にこだわらず、どこで作成しても良いようです)
メールには、
- 同性カップルであること
- パートナーシップ合意契約書と任意後見契約書の作成を希望していること
を簡単に記載。
返信、ちょっとドキドキしたよね
うん。でも、特に変な対応もなくて安心した。サラッと事務的にやり取りしてくれたのが逆にありがたかった
🌟 1回目の訪問:公証人と面談
当日、公証役場に行って受付で名前を伝えると、事務員さんが案内してくれて、公証人との面談へ。
この日は、
- お互いの氏名や住所などの確認
- 希望する契約内容のヒアリング
がメインでした。
テンプレってどんなのだろう
とドキドキしていましたが、実際にはごくシンプルで、わかりやすいフォーマットでした。その場でざっと雛形を見せてもらい、「これをベースにおふたりの情報を入れていきますね」と。
あとはメールでのやり取り中心となり、下書きの確認や修正を進めていきます。

これはメールでのやりとりの一部ですが、このように、追加したい文言や、削除したい箇所があれば、相談すれば柔軟に対応してもらえました。
こちらの表現が法的に不適切な場合も、丁寧に修正してくださってありがたかったです。
🧾 準備した書類(参考)
契約書の作成にあたって、それぞれ以下のような書類を準備しました。(あくまで“私たちの場合”ですが、公的文書なので、大きな差はないかと)
- 戸籍謄本(※婚姻歴がないことの証明)
- 実印
- 印鑑証明書
- 身分証(本人確認書類)
特に同性カップルの場合は、「婚姻歴がない=他に配偶者がいない」ことを証明する必要があるため、戸籍謄本が必要になります。
異性間の婚姻では当然スルーされる点なので、ちょっと切なさもありますね…。
💼 2回目の訪問:押印と完成
書類の内容を確認・修正し、最終稿を了承したら、公証役場から来所の予約日程の連絡が届きます。
そして2024年2月、2回目の訪問へ。
ついに押すんだね、判子
サインじゃなくて、印鑑ってところが日本っぽいよね
公証人と契約書をしっかり読み合わせて、それぞれが納得した上で押印。
無事に、公正証書が完成しました!
なお、公証人さんからは事前に「2人そろって来所してください」と説明がありました。基本的には必ず2人で行くことになるので、スケジュール調整は余裕を持って。

💰 実際にかかった費用
今回の費用は以下のとおりです。
- パートナーシップ合意契約公正証書:約15,000円
- 任意後見契約公正証書(1人分):約25,000円 × 2通=約50,000円
- 合計:約65,000円
決して安い金額ではないですが、行政書士さんを通した場合に「何十万円かかる」と聞いていたことを思えば、ぐっと現実的でした。
🌸 おわりに:やってよかった。けど……
こうして無事に契約書を作り終えましたが、終えたあとの気持ちは2つ。
ーー思っていたより、できることはあった!できてうれしい!
ーーでも、こんなにお金と時間をかけても“家族”としては認められないんだ…
だって、婚姻届は無料です。それだけで保障も税制上の優遇も受けられる。
それに比べて私たちは、手間も費用もかけて、ようやく「見える関係」にしただけで、法的には“他人”のままです。
この不平等を、私たちが生きているうちに変えていきたい。そんな決意を新たにした時間でもありました。
<グループに参加しています!>
🌼この記事がいいなと思っていただけたら、はてブで教えてもらえるとうれしいです。

ちなみにうちの猫さまは、そんなふうに「ついにできたね」としみじみしている私たちの膝の上で、今日もいつも通り、ぐっすりお昼寝。
猫さま、任意後見人とかいらないもんね
むしろ私が後見されたいくらい信頼してるけど
そのうち猫さまの承諾も必要になるかもよ
そしたら“肉球印”だね……
そんな冗談を言いながら、今日も猫さまは我が家の“安心の象徴”として、しっかりわたしたちのふうふ生活を見守ってくれています。