
こんにちは、具です。
私はふだん、学校で「保健室の先生」として働いています。保健室といえば体調不良の子がくる場所…と思われがちですが、実は「人生相談センター」としての稼働率も高めです。「なんで保健室の先生になったの?」なんて、常連質問。
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rs-hibi-log1001.hatenablog.com
そして、日々交わされる「あるある会話」がこちら。
先生って結婚してるの?
うん、してるよ〜(ってことにしておこう)
旦那さん、何の仕事してるの?
……ここで、私はコンマ2秒フリーズします。
今回は、そんな保健室で起こるちょっとした“日常のつまずき”を通して、「同性パートナーがいる先生」として感じていること、そして小さな願いについてお話ししたいと思います。
🏫子どもはなにも悪くない。けど、緊張する一瞬
こういう何気ないやりとり、どこの保健室でもありそうですよね。
でも、私には“ある問題”が発生するんです。
そう、私のパートナーは「女性」です。つまり“旦那さん”は、存在しておりません。
(“結婚してる”って言ったから、やっぱり旦那さんって思われるよね?)
(パートナーは女性なんだ、って言ってみる?)
(いやでも、伝えたことでもしかしたらーー)
と、脳内会議がコンマ2秒で開催されます。(※なお、この間の私はニコニコとポーカーフェイスをキメています)
❓ハッキリ言えたらラクなのにーー私が話せない理由(わけ)
本当は、生徒にもオープンにできたらどんなにいいかと思います。 当然生徒の中にもセクシュアルマイノリティの子はいますから、そうした子どもたちのことを思うと、公にカミングアウトできたら励みになるだろうなとも思うのです。
でも、「子どもを通じて保護者に伝わったとき、どう思われるだろう?」という不安がどうしても拭えないのです。
「同性愛者が子どもに関わっていいのか」──そうした偏見の声が、少数であってもゼロじゃないことを知っています。(実際、海外でも実例があります)
停職させられた同性愛者の教師、約1000万円で和解へwww.buzzfeed.com
▼関連記事:興味深い論文を発見しました▼
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyukyo/46/0/46_73/_pdf/-char/ja
誤解ないようお伝えしますが、保護者のみなさんの多くは、温かく、前向きに関わってくださっています。子どもたちだって、いろんな価値観を受け止める力をちゃんと持っている。だから、生徒に自分のことを話すこと自体に、抵抗があるわけではありません。
しかし今や、一部の声が、まるで全体の総意であるかのようにメディアへ取り上げられる時代です。考えすぎと思われるかもしれませんが、昔いやな思いをしている経験もあるし、
▼関連記事「予期せぬカミングアウト体験記」▼
rs-hibi-log1001.hatenablog.com
そうでなくとも、実際につらい思いをしている人がいるのも事実。だから、“その先の世界”まで考えざるを得ない。だって、相手はどんな価値観でいるかわからないから。
だから私は、今日も「パートナー」とだけ答えて、そっとニコニコを装います。
🛏️ 保健室からの種まき
私の仕事は、子どもたちが安心して“自分の人生を選べる力”を育むサポートだと思っています。
そのためには、「正解はひとつじゃないよ」「いろんな形の生き方があるよ」ということを、保健室という場所を通して伝えていきたい。
授業や日常の会話の中では、「ふうふっていろんな形があるよね」とか、「家族って血縁だけじゃないんだよ」と、さりげなく話題にしたり、自分の話をアレンジして織り交ぜたりして、できる範囲でちょっとずつ種まきをしています。
そんなある日、2人の生徒がふらりと保健室にやってきました。(※以下のお話しは、実話をもとにさまざまなエピソードを織り交ぜたフィクションです)
頻繁ではないけれど、何度か来たことがある顔ぶれで、保健室に置いてあるLGBTQ+に関する本を読んでいた姿も印象に残っていた子たちです。
ねぇ先生、もしさ、同性の子と付き合ってるって言ったら、どうする?
不意にそんな質問をされて、私は思わずきょとんとしました。
どうするって?どうもしないよ。素敵じゃない?私も友だちに同性の子と付き合ってる人いるし、この前、その子の結婚式にも行ってきたよ
えっ!?ほんとに!?
写真とかないの!?
と、2人は身を乗り出してきました。私はこういう日のためにと、ひそかにデスクへ忍ばせていた写真があったので、それを見せることにしました。2人は目を輝かせながら食い入るように眺めます。
結婚式とかできるんだ……
うん、日本ではまだ法律上の結婚はできないけど、式を挙げられる場所はけっこうあるよ
──このとき、私は自分のことを話すことができたらな、という思いがよぎりました。でもやっぱり、そこまでは踏み出せない自分がいて、少しもどかしかったのを覚えています。
それからというもの、その2人は、時々ふらっと保健室に来ては、それぞれのパートナーの話をするようになりました。いわゆる「恋バナ」です。
教室では言いにくいけど、保健室なら話せる。きっとそう思ってくれたのだと思います。卒業まで続いたこの関係は、私にとって忘れられない思い出のひとつです。
あの子たちにとって、保健室がちょっとだけ「安心できる場所」になれていたのなら──それだけで、この仕事をしていてよかったと心から思えました。
🌈おわりに:でも、いつかは話せたらいいな
とはいえ、これまでまったく話さなかったわけではなく、自分のセクシュアリティを開示してくれた生徒に対して、私も自分のセクシュアリティを開示しました。そのときの生徒たちのホッとした顔はどれも忘れられません。「ひとりじゃない」って、最強です。
そんな私のささやかな夢は、いつか「同性のパートナーがいます」と打ち明けたら、生徒が「ふーん、そうなんだ」と返してくれて、その“ふーん”の中に、ちゃんと受け入れてくれる空気が流れているような、そんな日がくること。
そして「そういう先生もいるんだなあ」って、生徒の心にそっと残るような、“身近なロールモデル”になれたらいいな。
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ちなみにうちの猫さまは、「人間ってややこしいね。でも、だいじょうぶ。ちゃんと伝わるよ」……そんなふうに言いながら、ドーンと寝転がる気がします。