
こんにちは。具です。
ふだん私は、学校で養護教諭として保健室にいます。
保健室という場所は、学校の中ではとても身近な存在である一方で、何ができて、何ができない場所なのかは、意外と知られていないように感じています。
よくある質問の中にこんな質問があります。
先生!どうして保健室は1時間しか休めないんですか?
ーーこの質問、養護教諭をしていると遭遇する場面は一度や二度じゃありません。ということは、“決まりがあるのかないのか”は知られていないことが多いのかも?
思い返せば、自分が子どもの頃も1時間だった気がするし(あんまり疑問に思ったことはないけど)、養護教諭養成課程に入って、初めて実態を知ったことを思い出します。
ということで今回は、「保健室の休養時間って決まりがあるの?」というテーマで、養護教諭の立場や現場の目線で、私なりにお話しをしてみようと思います。
⏰結論:時間に“法的な決まり”は、“ない”。
保健室で休める時間というのは、法律で一律に定められているというわけではありません。
「保健室は1時間まで」と聞いたことがある人も多いと思いますが、これは法律で一律に定められているルールではなく、あくまで各学校や自治体が、現場の実情に合わせて設けている“運用上の目安”です。
✏️ 実際の運用は、学校や自治体ごとに違うというわけですね。
そのため、学校によって実際の対応には幅があります。
私がこれまで勤めてきた学校でも、「授業1時間分を一区切り」としながらも、その子の体調や様子を見て、柔軟に判断していました(仮に1時間を超えて対応する場合は、状況や判断に至った理由を学年と共有した上で進めるので、私1人の判断で勝手にやることはありません)。
そのときの子どもの様子を見ながら判断をするので、「1時間だから必ず戻らなければならない」「1時間を超えたら絶対にダメ」というような、機械的なルールにはしていませんでした。
どうしてもお迎えに30分かかるんだけど、そうすると保健室にいる時間が1時間を超えてしまう…と心配される声もありますが、お迎えにくる時間まで加算するということはしないので、安全に気をつけていらしてくだされば大丈夫です。
🛏長い時間、休ませられない理由
「なんで1時間なの?」「もっと休ませてくれたらいいのに」と思うこともあると思います。確かに、体調が悪いときは、ゆっくり休みたいですよね。
しかし、保健室で長時間の休養を継続できない理由というのがあるのです。
💡感染症予防の観点から
保健室の休養時間に明確な「決まり」がないからといって、適当に判断しているわけではありません。むしろ、保健室へきたその都度、アセスメントをもとに、慎重に判断しています。その一つが、感染症予防の観点です。
もし、その子の体調不良が感染症によるものだった場合ーー何時間も学校に留め置くことは、本人がつらいことはもちろんですが、周囲への感染拡大につながってしまう可能性があります。特に、検査キットや医療設備のない学校では、アセスメントで判断するしかありません。
だからこそ保健室では、朝の健康観察はもちろん、生徒が保健室へきたときの顔色や保健室へ入ってくるときの姿勢・症状の変化などをつぶさに観察しながら、「このまま休ませるのがよいのか」「家庭での休養や受診につなぐべきか」を判断しています。
こうした判断の裏側には、子ども本人と集団の健康を守る視点があるのです。
💡 実は、保健室ができるのは、“一時的な処置”まで。
保健室は、あくまで学校の中にある教室の一つ。
原則として、学校管理下(登校〜下校まで)で発生したケガや体調不良に対する、当日のみの応急処置しか対応ができません。
救急処置の目的(学校における救急処置の特質)
学校は教育機関であって医療機関ではないため、学校における救急処置は医療機関での処置が行われるまでの応急的なものである。【学校保健の課題とその対応より】
つまり、学校ができるのは、医療行為に当たらない軽微な手当て(応急処置)ーーつまり、一時的な処置まで。
継続したケアが必要と判断される場合は、家庭や医療機関につなぐのが学校の役割となります。
保健室でずっと休ませられないのは、冷たい判断をしているのではなく、役割としての線引きでもあるのです。
「もっと休みたい」「保健室へいさせてほしい」という気持ちは、痛いほどに伝わってくるし、そうしてあげたいなって気持ちもあります。でも、保健室で長い時間の対応(継続した対応)はできないという点は、どうかご理解をいただけたらと思います。
🌈おわりに:保健室は「調整の場所」
私は、よく「保健室は“道の駅”」とたとえて話すことがあります。つまり、保健室は「回復を図るために一時的に休む場所」ということ。
保健室の休養時間に、単純な答えがないのは、もどかしく感じるかもしれません。でも、その日、その子の状態を見て、今できるいちばん最善なかたちを考えるーーもし、同じような体調不良が何日も続いている場合や、休んでも改善しない場合は、家庭での休養や医療機関の受診が必要なサインかもしれません。
自分の体調を知ること。体調に合わせた対応ができること。こうした自己調整力を身につけることも、生きる上で大事なスキルであり、大事な教育のひとつだと思います。自分の心や体の判断を一緒に考えるのも、養護教諭の役割のひとつだと私は思って仕事をしています。
このお話しを通して、少しでも、「保健室ってそういう場所なんだ」と伝わったらうれしいです。
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