
こんにちは。具です。
記事の整理をしていたら、誤って記事を削除してしまい、一からリライトしています😭
さて。あなたは、カミングアウトを受けたことがありますか?学校現場でも、カミングアウトを受ける機会が増えてきたと、保健室にいて実感することが多々あります。
あのときこう言ったけど、傷つけてないかと心配で…
もし今も不安なら、ぜひこの記事を読んでください。
私は10年以上、養護教諭として勤務し、自身もセクシュアルマイノリティ当事者です。これまで何人もの生徒からカミングアウトを受けてきたし、先生方からの相談も受けてきました。
その経験を持って、教員だからこそ大切なことは、専門的な知識よりも“心理的安全性”をつくることだと思うようになりました。
今回は、
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その場で絶対に外さない初動対応
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やってはいけないNG対応
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安心できる関わり方の具体例
を、カミングアウト経験の少ない先生にもわかるようにご紹介します。この記事をとおして、「大丈夫」「対応できる」と思っていただけたらうれしいです。
- 💡結論:最優先は「心理的安全性」を守ること
- ✏️カミングアウトを受けたときの「心理的安全性」を守る5つのポイント
- ⚠️やってはいけない5つのポイント
- 🙏カミングアウトは「お願い」ではない。
- 🌈おわりに:大事なことは「安心できる場」があること。
💡結論:最優先は「心理的安全性」を守ること
まずは、生徒が安心して学校生活を送れるように、安心してもらうこと。そのために、「一緒に考えるよ」と伝えるところから始めれば十分です。
多くの子ども(以降含め、すべて当社比)は、「本当の自分を知っている人がほしかった」という思いを持っています。なぜなら当事者にとっては、家族も含めて、ずっと「言えない」と周囲におびえ、安心できない状況にいたからです。それを言ってくれたということは、あなたに対して安心できると感じたからにほかありません。まずはじっくり話を聞いてほしいです。
✏️カミングアウトを受けたときの「心理的安全性」を守る5つのポイント
話をしてくれたことへ「感謝」を伝える。
大事な話をしてくれてありがとう。
このひとことで、まずは十分。理由は簡単。カミングアウトは、とても勇気がいる行為だから。
私もカミングアウトをしたことがあるのでわかるのですが、カミングアウトというのは自分の内側にずっと閉じ込めていた感情を解き放つ行為です。相当な覚悟と緊張をもってこじ開ける感覚は、結構エネルギーを使います。
否定も評価もいらない。まずは受け止める。これに尽きる。
私は生徒からカミングアウトを受けたら、まずこの言葉から始めます。すると、こわばった生徒の表情がふっと柔らいでくれます。
味方であることを言語化する。
私は当事者なので、「私も当事者だよ」と伝えることがあります。すると、だいたいの生徒は一気に安心してくれます。
え。全然気づかなかった。
まぁ、私もいろいろあって公言してないしね。まぁ、そういうことなので、いろいろ相談に乗れるところはあると思うよ。
【「いろいろあって」の関連記事はこちら】
非当事者の先生なら、「友だちにいるよ」「一緒に考えたいと思っているよ」と伝えられたら十分です。重要なのは、「あなたは一人ではない」と言葉で示すこと。そして、一緒に考える姿勢をくずさないこと。この2つを大事にしています。
困っていることや必要な支援を具体的に聞く。
いま、学校生活で困ってることとか、学校に改善してほしいこととかある?
具体的な要望があれば、管理職へ掛け合う必要があります。場合によっては、保護者の協力も必要です。本人のニーズがどこにあるのかを明確にしましょう。
とりあえずは、知っておいてほしかっただけなので、別に。
そう?もし気になることとか、また気づいたときは教えてね。言ってもらって初めて気づくこともいっぱいあるからさ。
こんな感じで、「知っておくだけでいい」というニーズがダントツで多く、学校環境の改善を求めない子はけっこう多いです。だから、先回りしすぎないこと。支援はあくまで、本人のニーズに合わせます。
ちなみに、個人的に多かった要望は「内科検診」の受け方でした。男女別で受検することが多いからです。私はいつも「男子と女子の間」に入れる(例:男子→女子の順で検診するときは、男子の最後尾に入れるというイメージ)ようにしていました。
無断共有は絶対にしてはいけません。
理由は単純。信頼を一瞬で失うからです。
たとえば、学校環境の改善にあたってどうしても共有が必要となる場合は、必ず本人に聞きましょう。たとえ善意でも、本人の同意がなければアウティングです。
「アウティング」とは、本人から了解を得ずに、性的指向や性自認を第三者が公に暴露することを言います。
学校の仕組みを変える話は私だけだとできないこともあるから、学校の中でもう少し仲間を増やしたいんだけど、共有してもいい先生っている?
なぜ共有が必要なのかを明確に☝️これが見えないというのは当事者にはちょっと恐怖です。自分ひとりで抱えるのはつらい!と思うかもしれませんが(当事者は長い間ずっと抱えているんですけどね…)、情報共有の主導権は、あくまで生徒(当事者)にあることを忘れずに。
継続的な受け皿になる。
話が聞けてうれしかった。私でよければこれからも、話聞くからね。
私は最後、生徒に必ずこう言います。最初に話してくれたことを受け止めて、最後は、「これからもここにいるよ」と受け入れる。ここまでが、心理的安全性をつくるまでのワンセット。
学校をすべて変えるような、大きな支援や変容がなくてもいいんです。大事なのは、学校が安全であり、自分が味方であり続けること。これが最大の支援です。
⚠️やってはいけない5つのポイント
驚きすぎる・動揺を見せる
- えっ?本当に?あ〜〜そうなんだ。
- 全然そう見えなかった。
- あ、そっちなんだ!わからなかった。
悪気がなくても、こうしたひとことはNGです。っていうかイヤです。「そうは見えなかった」の“そう”ってどういう意味ですか??って私はなります。文章にすると「こんなヤツいないだろ」ってツッコまれがちですが、いるんですよ。本当に。
特に「そう」とか「そっち」とかいう人。この言い方は、自分とは異なる人種だって言われているようなもので、端的にいうと“拒絶された”と感じます。
ファーストリアクションは、落ち着いて。
原因や理由を追及する。
- いつから?
- なんかきっかけがあったの?
これも悪気なく聞くのかもしれませんが、当事者からすると「知らんがな」って気分。
じゃあ、あなたはいつから異性愛者だったんですか?
これを聞かれて、たいていの人は口ごもるのではないでしょうか。セクシュアリティは生まれ持ったものなので、なにかをきっかけに“目覚める”ものではありません。
カミングアウトに説明義務はないのです。だから、本人が話したいことだけで十分。聞きすぎないことも、その人の人権を尊重する大切な配慮です。
勝手に他の教員へ共有する。
無断共有(アウティング)は絶対NG🙅♀️「知らない体で」と前置きして、全職員へ共有するなんてもってのほか⚠️せっかく勇気を出して、“あなただけに”話した勇気への裏切り行為です。
一度立ち止まって問いかけてほしいです。ーーそれは、本当に全体へ共有する意味はありますか?
もし、ただ「知っておいてほしい」だけのカミングアウトだったなら、なおのこと全体へ周知する必要性はありませんよね。共有は必ず本人の同意を得る。誰に、どこまで伝えるか。くりかえしになりますが、主導権は生徒(当事者)にあります。
過度に特別扱いする
- 急に配慮を増やす(例:本人が望んでいないのに、職員用トイレを使用するよう勧める。本人が望んでいないのに、修学旅行の部屋を別で用意する等)。
- 周囲に悟られないよう過剰に動く(例:勝手に情報を共有する。「悩みをいうことがあるかもしれないから、そのときは力になってあげてね」と、交友関係に入り込む等)。
本人が望まない支援は、かえって負担になります。支援はあくまで、“本人が望む範囲”で十分。「何かあれば言ってね」と、どんと構えて待っているくらいが実はちょうどいいのです。
勝手に家族へ連絡する。
今日の話、保護者にも伝えた方がいいですよね。
これ、本当によくあるんですけど……なぜ連絡が必要と感じたのか、一度立ち止まって考えてみましょう。
大前提として、カミングアウトを受けただけなら、保護者へ連絡する必要はありません。自死のリスクがあるとか、自傷行為を伴っているとか、命の危険が迫っているなら話は別ですが、ほとんどのケースはそんなことありません。
おそらく“よかれと思って”言ってるんだと思いますが、その判断は慎重に。家庭が安心できる場所とは限りません。無許可ならアウティングにあたり、それこそ命を危険にさらす、深刻なリスクになります。
🙏カミングアウトは「お願い」ではない。
やってはいけない対応の共通点は、教員側の不安が先に立つことです。カミングアウトは、改善を要求しているとは限りません。知っていてくれる人がほしいーー生徒の願いは、それだけの場合も多いものです。
むしろ、勝手に先走って「学校の環境を整えなきゃ」「問題を解決しなきゃ」という姿勢が見えると、興醒めするというか…
なんか、“配慮されなきゃいけない人”みたいになる方がイヤなんだけど…
私はこんな風に考えてしまいます🙄
対応に迷ったら、「これは本人が望んでいることか?」と立ち止まって考えてみましょう。そして、それを本人に聞いてみましょう。それだけで、対応が大きく外れることはありません。
🌈おわりに:大事なことは「安心できる場」があること。
セクシュアリティのカミングアウトというのは、「性」にかかわるお話しです。そのせいか、「なにかしてあげなきゃ」「性の話は苦手だから、保健室の先生に対応してもらおう」と、先生たちの方が身構えているように感じることがあります。
でも、カミングアウトをしてくれたってことが、その人への信頼の証であり、大切なのは生徒にとって「もう大丈夫」と安心できる場所があること。変に気負わず、「ここにきたからにはもう安心」と構えていてくれれば、それで十分です。それに尽きるんじゃないかなぁと私は思います。
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ちなみにうちの猫さまは、下僕である私に「心理的安全性」を感じてくれているご様子……今日もきっと、同じお布団で眠れることを願って。いや、ありがたやありがたや。
